※公演内容のネタバレを含みます。
新宿シアターモリエールで10/4まで行われている
舞台「アイドル甲子園シアター旗揚げ公演 AKIRA」(http://idolkoushien.com/theater/ )
をAキャストで2回見てきました。
推しの鉄戸美桜さんの初舞台ということですっごく楽しみにしていました。
てつどさんとlyrical schoolの清水裕美さん以外は知らない方だったんですけど、
蓋を開けたらすっごく楽しくて、キャスト全員のことが大好きになっていました。
舞台観劇経験はほぼないに等しいんですけど、感想書きたいと思います。
一番最後に出演者さんそれぞれの感想書いてます。
簡単にストーリーを説明すると、「AKIRA」の家にアキラからそれぞれ呼び出されて鉢合わせたアキラの恋人5人とアキラの妹の計6人で、
このわけのわからない事態に収拾をつけようとするが・・・という。
ネタバレを言ってしまうと、実は呼び出したのはアキラとは血の繋がっていないブラコンの妹で、
おそらく目的は大好きなお兄ちゃんの女達を鉢合わせて揉めさせて全員と別れさせちゃえ、ってことだったと思うんですけど。
でも、物語の結末としては、アキラはその家のクローゼットで自殺しています。
アキラの母親は解離性同一性障害で、幼いころアキラは家に帰るたびに母親に違う人格で迎えられていた。
そんなアキラはその人格それぞれに完璧に自分を合わせていたのだけど、
結局母親は自殺してしまうという。
そしてアキラの5人の恋人は、アキラの母親容姿が似ているとか、
料理の味付けが近いとかでそれぞれ求められたのではないか、と気づく流れ。
そしてアキラは(ここは言及があったわけではないのですが)
5人の恋人それぞれにまた完璧に自分を合わせているうちに、
自分も多重人格みたいになっていることに絶望し、
そして5人の恋人に対する収拾もつかず耐えられなくなり自殺したのかなーと。
ここは想像。
この舞台には「男」の存在がずっと中心にあるんだけど、
男の役者さんは出てきません。
アイドルの舞台だからってこともあるんだろうけど、
でもそれを逆手に取った感じがニクいな~って思った(笑)
男役者は出てこないけど、セリフには抱くだの抱かないだの、
性的なワードがわりと出てきます。
「具体的な相手が目に見えない」性的なセリフって優しいし甘美だなーと。
あとやっぱり異性の匂いがする女の魅力っていうのが、
あの狭さで直球でこっちにくるからずるいなと思いましたね。
個性がまるで違う6人の女の質感と、
その6人が揃いも揃って同じ一人の「男」について語るのを聞いてると刺激強すぎて頭がクラクラしました。
「アイドルが出る舞台」という前置きがあったので特に。
あともういっこずるいなと思ったのが、
男役者が出ないのをいいことに「AKIRA」について見てる側に補完させたことかなーって。
6人の出演者のアキラに対する各々の気持ちを聞いて、
こちらは自然に自分の気持ちよいようにアキラという人物を補完する。
そうするとアキラと6人の女達の関係がすんなり入ってきてしまうというか、
物語のキモのところを見てる側に投げて処理させたところがうまいな~と思ってしまった。
案の定ぐるぐる考えているうちに6人とアキラのことが好きになってしまった。
もっとひらたーく言うと、好きなアイドルについて語ってる時のオタクって愛しいじゃないですか?
そのアイドルを知らなくても、そのオタクが語る「言葉」で感化されることってありますよね。
ああいうことが「AKIRA」でも起こっていたよなと思った。
この流れとは別でもう一つ考えたことがあって。
死んでいるアキラを発見した6人はこの世の終わりのごとく泣き崩れるんですけど、
一晩経って警察の事情聴取等が終わったあと、
6人とも妙にスッキリした顔をしているんです。
もともとなんらかの「欠陥」(これは、人間なら誰しも何かしらある)があって
アキラに助けられていた6人がそのアキラを失ってバランスを崩したはずが、
仄めかされるのはその先の「希望」だったっていう。
そのことについて良かったも悪かったも特にないんですけど、
6人はこの先やっと自分の足で歩き出すんだろうなって思いました。
でも逆にアキラが死んでなかったらどうなっていたのだろうか、と考えなくもない。
死んでなかった方が6人に傷を残したかもしれないですね。皮肉なことに。
ここまでで演者さんに対してまったく言及してないんですけど(笑)、
でも、演者それぞれじゃなくてまるっと物語として色々考えることも多かったのでよい舞台だったんだと思いました。
こんなところに連れてきてくれてありがとうね、てつどさん。
基本アイドルに対して「私を甲子園に連れてって」スタンスでいる・・・。
以下、出演者とか役それぞれに対する感想。
◯君島光輝さん(1994年生まれ21歳)
アキラの婚約者で超お嬢様の「いずみ」の役。
まったく存じ上げなかったんですけど、メインに据えられるだけあってすっごく上手に感じました。
いや~なお嬢様なんですけど、でも当然そうなっただろう、っていう環境で育っているので不思議と嫌悪感がなかった。
もちろん単純に酷いことは言ってたのでイラッとはしたけど。
君島さん、そして「いずみ」がクライマックスは物語を引っ張ってくれていて、
物語の途中までそうとうイヤミな「いずみ」だったにもかかわらず、最初から他の5人が「いずみ」には勝てないとどこかで認めてしまっている評価が、気風ある君島さんに馴染んでいました。
◯尾崎優子さん(1994年生まれ21歳)
精神科医だったアキラの患者で、AV出演経験もある「レノ」の役。
コミカルでちょっとイタくて序盤はわざとかたまたまか結構滑ってたんですけど、
「精神病患者」というワードとだんだん出てくる優しさ人の良さでご本人もこういうところあるのかなーと思ってしまった。こんな人友達に欲しいよねえ。
「アキラにはいつかふさわしい人が現れて私とは別れるんだろうなと思っていた」っていう諦念が哀しくも愛おしかった。
◯松岡里英さん(1993年生まれ22歳)
通信制の大学に通いながらキャバ嬢をしている「アイカ」の役。
サバサバしてて言葉使いが悪い。松岡さんの怒声すっごくスカッとしてて気持ち良かった。
顔立ちも派手でいい感じに無防備でセクシーで、調べたらグラビアアイドルなのかー。なるほど。という感じ。すごく華がありました。
戦闘着として可愛い服を着た女の子、って大好きなので松岡さんのキャバ嬢の私服衣装とても良かった。
見た目の話ばっかりだけどそれだけアイカ可愛かったんですよ・・・。
◯小俣里奈さん(1992年生まれ22歳)
「いずみ」の親友「まゆ」の役。
一貫校で幼稚舎からいたいずみと違い、高等部からの入学で良くも悪くも普通の感覚を持っている感じの役でした。
自己中心的ないずみの側でいろんなものを抱えていて、最初は控えめないい子、って感じなのにだんだん黒い気持ちが出てきている演技が素敵だった。
笑うと可愛いけど睨むとメッチャコワイ。いろんなものを抱えているアキラに惹かれてはいたけど、「私には荷が重すぎて無理」と思うところが良かったなー。
◯清水裕美さん(1990年生まれ25歳)
アキラとは血が繋がっていない妹「マコト」の役。ブラコン。
最年長なのに制服着て学生役をする、っていう面白さがあったんでしょうけど、似合いすぎて違和感0すぎてそのへん何も思わなかった(笑)
声色とか細さとか、神経質そうな表情と「ブラコン」って設定がすごく合っててよかった。
アキラに対する性的な感じが一人薄かったのも個性になってたなーって。
公開ダメだし会*1で演技は初めて、って言ってたけど、ゆみずさんは言葉が上手な方なので、終わった後のブログを楽しみにしています。同年代なので応援しています。
◯鉄戸美桜さん(2000年生まれ15歳)
被災地に医師団として来ていたアキラに救われアキラを追いかけ上京してくる「みすず」の役。震災で両親を亡くしている。
てつどさんだけは役じゃない時を知っているので比べるかなと思ってたんですけど、「みすず」として見れたのが本当によかった。
本人も言ってたけど*2
みすずちゃんは相当「可愛い」役で。
それをてつどさんがやることによって結構その可愛さにやられたんですけど(笑)素直なみすずから語られるアキラは相当お兄さんで、美化されていて、依存とも取れる恋心がまっすぐで胸を打たれました。
演技のことはよくわからないけど、てつどさんは本当に声がいい。
それと目が大きいので、表情の変化もわかりやすい。
年齢相応のスカートの形と丈もよかったです。
「AKIRA」、すっごくすっごく楽しかった〜。
推しが出ている舞台が楽しい、面白い、っていうのはこの上ない幸せだと思った。
そんなに毎度毎度体験できることではないと思うので、噛み締めていました。
モリエールの怪しげな雰囲気もよかったです。
もっとてつどさんの演技が見たいと思いました。