何かと話題になっている武道館を読みました。
アイドルを題材にした小説っていう前知識しかありません。
ただ、アイドルに興味がある人のいろんな感想を呼び起こしているのは知っています。
この本に対する誰の感想もまだ読んでいません。自分の感想を書いてからたくさん読みたいなと思いました。
これは人の感想が読みたくなる。
以下感想。ネタバレを含みます。
小説のストーリーとしてはわりと陳腐だなと思った。
結末とかご都合的だし。
アイドルに興味がない人が読んでも特に何も思わないと思う。
むしろなんだこれ、アイドルってなんなんだよって思うかも。
でも私はアイドルオタクなので、この小説を読んだ後「考える」までが感想で作品の力だなと思ったので、考えてみた。
まず、自分がこのグループのファンだったら、最悪だと思うなとは思った。
念願の武道館公演がメンバーのスキャンダルで中止になっているんだから。
自分がお金を払って買ったストーリーが期待から大きく悪く外れたんだから。
でも小説を通して、「一人の女の子の人生として」描かれると、
一人の女の子が自分の人生について選択したまでにすぎない、ってきちんと思うことができて、そこが良かったなと。
「アイドル」と名乗る子達がめちゃくちゃ増えたなかで、いろんなニュースが刺激的に目に飛び込んできて、反射的にいろんなことを思ってしまうけど、
そうだよね、「選択」したんだよねって。
もちろん商品なんだから、商売なんだから、たくさんの人が動いてるんだから・・・。っていう正論もあるよね。私も心境によってはそう思うと思う。
でもこの小説を読んでいると、そんなこと*1より女の子には大事なことが、瞬間があるし、
そんな女の子たちだからアイドルっていう商品になり得るし、ファンがつくんだと思う。
こういう淡くて脆い子達だからこそ、惹きつけられるんだと思う。
それを実感した本でした。
この小説を読んで嫌だというか、やるせなく思う人はいっぱいいるだろうけど、
たくさんの数のアイドルがいる中で、アイドルに求められるものが多様化している一方、どんどん煮詰まっていくなかで、
アイドルの「選択」についてアイドルの人たちも、私たちオタクも少しでも素直に受け止めていけたらなと思った。
そもそも「アイドルになる」という選択が「結婚」や「就職」と同列で語られてもいいぐらいの所まできているのかなと思っていて。
そこから別の選択肢へ移る時必要以上に騒がれるけど、その風潮をやめてほしいとかではないけれど、
「選択」をするのはその人しかできないことで。
「アイドルになる」という選択をしてくれた目の前のあの子の次の一手は、
どんなタイミングでも、どんな形でも、可能な限り楽しんであげたいと思う。オタクとして。
口で言うのは簡単。実践できたことも少ないし。
でも、小説を読んでもう一度そう思った。
アイドルが提供してくれたものを、オタクとして消費したいと思う。
それはアイドルのためではなく、自分のために。
それを頭においておくといいのかもなあと思いました。
門前さんの卒業を前にいいタイミングで読めて、良かったです。
*1:大多数の人にとって大事でも、そう思ってしまう瞬間が誰しも必ずあると思う。